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行動制限

行動制限最小化に関する指針

 

公益財団法人山梨厚生会 山梨厚生病院

 

Ⅰ 精神科病棟における行動制限最小化に向けて当院の基本的な考え方

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十六条第1項において、「精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。」また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第37条第1項(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準 昭和63年厚生労働省告示第130号)では、「入院患者の処遇は、患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しつつ、適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければならないものとする。また、処遇に当たって、患者の自由の制限が必要とされる場合においても、その旨を患者にできる限り説明して制限を行うよう努めるとともに、その制限は患者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならないものとする。」とされている。これは、真に緊急やむを得ない場合において行動の制限を行うことを規定しているものであり、行動の制限を行わないことを前提とした医療を提供することが特に重要である。緊急やむを得ない場合においては、精神保健福祉法に定める基準を遵守するとともに、
行動の制限を必要とする患者の症例については、精神保健指定医(以下「指定医」という。)を含めた複数の医師による検討を行うなど適切な医療の提供に努める。
身体的拘束及び行動制限は患者の権利である自由を制限するのみならず、身体的・精神的に弊害を伴う。したがって、身体及び行動制限を行わないことが原則である。当院では、患者の人間としての本来の姿を重視しながらチームでディスカッションし、合意形成した方向性に基づいた医療安全対策を講じることで、緊急やむを得ない場合を除いて身体的拘束及び行動制限をしない診療・看護の提供に努める。

 

Ⅱ 当院精神科病棟における行動制限最小化の基本方針

当院精神科病棟では、患者または他の患者等の生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、行動制限の実施を禁止する。
この指針でいう行動制限は、隔離または身体的拘束による制限をいう。(隔離・身体的拘束の定義はⅢに記載する)

1. 当院精神科病棟に入院されているすべての患者の処遇は、患者の個人としての尊厳を尊重し、人権に配慮しつつ、適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければならない。
2. 患者の自由の制限が必要とされる場合においては、その旨を患者にできる限り説明し制限を行うよう努める。
3. 患者の自由の制限は、患者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行わなければならない。
4. 入院患者の行動の制限は、精神保健福祉法に則り、必要最小限にとどめる。
5. 行動の制限に関わる諸条件が改善・消失した時点で、速やかに制限の解除を行う。

これらを組織全体で取り組む。

行動制限を行う場合は、当院「精神科医療マニュアル:隔離・拘束」に準ずる。

 

Ⅲ 当院での医療行為としての行動制限(隔離及び身体的拘束)の定義

当院精神科でいう行動制限とは、隔離および身体的拘束をいう。

1. 隔離とは
保護室、個室、あるいは多床室に患者を入室させて施錠することによる行動制限である。
患者2名以上を入室させて施錠することは危険であるため行うべきではない。
2. 身体的拘束とは
医療的な配慮がなされた拘束用具(注1)により体幹や四肢の一部あるいは全部を種々の程度に拘束する行動の制限である。

(注1)衣類および綿入り帯などによる身体拘束が最も一般的であるが、確実性・安全性のみならず行動制限の最小化という視点からマグネット式の製品が推奨される。マグネット式の製品は身体各部位の可動域を調節できるため、患者の苦痛を可能な限り最小限に緩和することができる。さらに着脱が容易であるため、1肢のみの拘束中断や時間限定の中断といったような身体拘束の部分的な中断を促すことができる。このようにマグネット式の拘束用具の使用は身体拘束を段階的に解除することを容易にするため、行動制限の最小化に繋がる。そのため、当院ではマグネット式を使用する。

 

附 則 この指針は平成16年4月1日から適用する。
附 則 この指針は平成27年4月1日から適応する。
附 則 この指針は令和4年4月1日から適応する。
附 則 この指針は令和6年4月1日から適応する。

 

 

 

 

身体的拘束最小化のための指針

 

公益財団法人山梨厚生会 山梨厚生病院

 

Ⅰ.身体的拘束最小化に関する当院の基本的な考え方
身体的拘束は、患者の自由を制限することであり、人間が持っている基本的人権や尊厳を脅かす行為である。身体的拘束を安易に正当化することなく、身体的拘束がもたらす多くの弊害を理解した上で身体的拘束に関する議論を行う。また、身体的拘束廃止に向けた意識を常に持ち、身体的拘束を行わない支援の実施に努める。以上が山梨厚生病院の考え方である。

 

Ⅱ.基本方針

1. 身体的拘束の原則禁止
当院は、患者の生命または身体の保護するために緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束の実施を禁止する。
2. 緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合
身体的拘束適応時は、緊急やむを得ない場合は「切迫性」の要件を満たしている場合と、「非代替性」「一時性」を加えた3つの要件を満たしている場合とする。
「切迫性」:患者本人または、他の患者の生命及び身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。気管(切開)チューブ・中心静脈カテーテル・動脈カテーテル等の処置が行われている場合
「非代替性」:身体的拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと
「一時性」:身体的拘束その他の行動制限が一時的なものであること
3. 身体的拘束を検討する場合は、山梨厚生病院の「身体的拘束最小化のためのマニュアル」に準じて実施する。

Ⅲ 身体的拘束がもたらす多くの弊害とは

1. 身体的弊害
1) 患者の関節の拘縮、筋力の低下といった身体機能の低下や圧迫部位の褥瘡やスキンテアの発生などの外的弊害
2) 食欲の低下、心肺機能や感染症への抵抗力の低下などの内的弊害
3) 車いすに拘束している場合は、無理な立ち上がりによる転倒事故、ベッド柵使用の場合は、乗り越えによる転落事故、更には拘束器具による窒息などの大事故を発生させる危険
2. 精神的弊害
1) 患者に不安や怒り、屈辱、あきらめといった多大な精神的苦痛を与えるばかりか、人間としての尊厳をも侵す
2) 高齢者の場合は、特に、せん妄などの意識障害をもたらす恐れ
3) 家族にも大きな精神的苦痛を与える。家族が患者の身体的拘束を目の当たりにすることによって混乱し、後悔し、罪悪感にさいなまれる場合がある
4) 医療者は、自ら行うケアに対し、誇りが持てず、安易な拘束が医療の士気の低下を招く
3. 社会的弊害
1) 身体的的拘束は、医療者の士気を低下させ、地域社会の医療への不信感、偏見を引き起こす恐れがある。高齢者の身体拘束は、心身機能の低下、QOLの低下を招き、さらなる医療処置を生じさせ、経済的な影響をもたらすことにつながる

令和6年4月 策定

参考資料 ・「身体拘束ガイドライン」日本看護倫理学会
・「身体拘束ゼロへの手引き」厚生労働省(身体拘束ゼロ作戦推進会議)
・他施設の指針

 

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