【疾患名】
【病態】
前立腺癌は前立腺の細胞が悪性化した新生物で、放置すると全身に転移して死に至ります。前立腺肥大症と混在していることが多いので、勘違いされている人も多いですが、前立腺肥大症が癌になるわけではありません。ただ好発年齢も同じで、同一個人に発生するために診断に苦慮します。一般的には前立腺肥大症は内腺、前立腺癌は外腺に発生することが多いとされます。
【症状】
早期前立腺癌に関しては臨床症状はありません。しかし進行するに従って排尿症状をうたえることもありますが、前立腺肥大症でも同様な症状がでます。臨床症状では前立腺がんと前立腺肥大症の鑑別は不可能です。 前立腺癌が転移すると転移した臓器によってその症状がでます。特に骨に転移することが多いので腰痛などの症状で見つかることもあります。
【検査】
前立腺癌の診断・治療については採血で判るPSA(前立腺特異抗原)が有用です。年齢にもよりますが、PSAが4.0ng/mlを超えている場合には前立腺の可能性が高くなります。ただ疑いだけですので、確定診断のためには前立腺の生検が必要になります。当病院では一回目は超音波ガイド下で経直腸的前立腺生検を10か所行っています。しかし一回目で前立腺癌があっても外れることがあります(特に腹側に腫瘍がある場合)。そのためにPSA高値が続く場合にはMRI や定期的なPSA検査を行います。それで怪しければ麻酔下に経会陰的前立腺生検と経直腸的前立腺生検を行う前立腺立体生検を行います。 前立腺癌と診断された人は転移の有無を調べるために、CT検査や骨シンチ検査を行います。
図1:経直腸的前立腺生検
【治療法】
早期であれば手術(前立腺全摘術)または放射線治療(外部照射、小線源治療)が一般的です。しかし高年齢の患者さんには早期でもホルモン療法が選択されます。 局所進行性前立腺がんではホルモン治療と放射線治療が併用されます。 すでに骨やリンパ節などに転移している場合はホルモン治療が選択させます。しかしホルモン治療ではほとんどの症例でホルモン抵抗性の前立腺癌に移行します。その時には抗がん剤を投与することがあります。