【疾患名】
【病態】
胃粘膜上皮から発生した悪性腫瘍(癌腫)のことです。胃壁浸潤の深さによって、早期がん・進行がんに分類されます。
進行してくると深層に増殖し、隣接臓器に浸潤したり、腹腔内にがん細胞が散布(腹膜播種)されることもあります。一方、リンパ管や血管を介して、リンパ節転移や遠隔転移をきたすこともあります。
胃壁浸潤の深さ、リンパ節転移の程度、遠隔転移・腹膜播種の有無等により胃がんの進行度(病期分類・ステージ)が決まり、治療方針が選択されます。
【症状】
早期胃がんの自覚症状は軽微で、無症状のことも少なくありません。しかし、がん病巣の増大・進行に伴って様々な症状が現れてきます。主な症状を列挙します。
・腹部症状 ;心窩部痛、胃部膨満感、腹部腫瘤等
・消化器症状 ;食欲不振、嘔気、嘔吐、つかえ感、黒色便等
・全身症状 ;体重減少、倦怠感、貧血、浮腫等
【検査】
上部消化管内視鏡検査 ;胃がんの確定診断に不可欠な方法です。
がん腫の形態・広がりを調べると共に、がん腫そのものの組織の
一部を採取し、顕微鏡により診断を行います。
上部消化管造影検査 ;がん腫の局在や広がりを調べるのに有用です。
超音波内視鏡検査 ;胃がんの質的診断は困難ですが、隣接臓器との関係やリンパ節
転移・遠隔転移の状況等、胃がんの進行度を診断するのに有用
です。
腹部CT検査 ;胃がんの質的診断は困難ですが、隣接臓器との関係やリンパ節
転移・遠隔転移の状況等、胃がんの進行度を診断するのに有用
です。
腫瘍マーカー ;血液中に存在する「がん細胞が特異的に産生する、あるいはがん
の存在により、生体内から産生される物質」のこと。あくまで診断
の補助にすぎません。
【治療法】
基本的には病期分類に応じて「胃がん治療ガイドライン」に沿って治療方針を決定しますが、個々の患者さんの状況に応じて、最適と考える治療法を提示させていただきます。
・手術療法 ;治癒を目的として施行される治癒手術と、症状軽快等を目的として施行される非
治療手術とに分けられます。
前者には、胃全摘術・幽門側胃切除術・噴門側胃切除術・胃分節切除術・胃局
所切除術などがあり、がん腫の局在や進行度により最適の手術方法を選択し
ています。後者には、バイパス手術や減量手術などがあります。
当院では各々の手術を、開腹のみならず腹腔鏡を使用しても行っています。
胃がんに対する腹腔鏡手術(詳細はこちら)
・化学療法 ;いわゆる「抗がん剤治療」と言われるものです。切除不能な進行がん・再発がん
や非治癒切除症例に対して、治療を目的として行われるものと、治癒切除後の
微小遺残腫瘍による再発予防を目的として行われるものがあります。